松嶋×町山 未公開映画祭 クリップ

1960年代を舞台にした映画『ア・シングル・マン』(原題)で、ゲイの大学教授ジョージ・ファルコナーを演じたコリン・ファースが、アメリカの映画界はキャリアを危険にさらしたくないがために、カミングアウトできない俳優でいっぱいだと思うと語った。

 「ストレート(非同性愛者)な俳優がゲイの男を演じるのと、映画界でゲイの俳優でいることはまったく違うと思う。いまだにゲイであることをおおっぴらにするには多少の制約があると思う。ハリウッドではゲイであるという秘密を用心深く守っている俳優が多い。主役を演じる男性でゲイであることを公にしている人は少ない」とコリンはパレード誌に語る。

神のご加護も届かない”ゲイ”共和党員の憂鬱
3月3日、共和党のロイ・アッシュバーン上院議員(カリフォルニア州)が飲酒運転で逮捕された。ゲイバーの駐車場から出たところを。アッシュバーンは4人の子どものいる離婚経験者だったが「自分はゲイだ」と認めた。

 問題なのは、アッシュバーンがゲイかどうかではない。彼が今まで「同性間の結婚」をはじめとする同性愛者の権利拡大に反対してきた事実だ。

彼らは、クローゼット議員と呼ばれる。なぜなら自分はゲイ、あるいは同性愛者ということを隠してアンチゲイ活動をしているからだ。本当だったら彼らはゲイにいい法律を作りたい。だが保守的なアメリカ、ゲイだったら当選できない。だからゲイということを隠すためにわざとゲイに不意な法律に賛同している。でもこの映画を見るとバレバレ。ニュースではがんがんとリークされた情報で彼はゲイだ、彼女はレズビアンだと報道されている。

Q: なぜハリウッドではなくワシントンDCに焦点を当てたのか?
A: この映画は偽善について、それもアンチ・ゲイ法案に票を投じたクローゼット・ゲイの偽善についての話だからだ。今まで語られなかったこの問題に切り込んでいこうと思った。

Q: ワシントンDCにゲイは多いのか?
A: 興味深いことに、アウトしている政治家も多い。議会では、スタッフも含めて30~40%がゲイだ。

Q: この映画で取り上げられた政治家がゲイだという証拠や裏付けはあるのか?
A: 3年間の製作期間の多くを取材とリサーチに費やした。情報は100%正しいという自信がある。

Q: この映画はクローゼット・ゲイをさらにクローゼットに追いやったりはしないか?
A: クローゼットが存在するのは、メディアでも世間でもゲイに関して十分語られていないからだ。20年後に、広く語られるようになれば、ゲイであることが政治的な要因ではなくなり、政治家にとってもクローゼットという自分に正直ではない生き方が最良の選択ではないと分かり、民主党だろうが共和党だろうが、政治家もカミングアウトしていくだろう。

同性愛者の政治家の矛盾と苦悩を描き、物議を醸しているドキュメンタリー映画『アウトレイジ』(原題)について、カービー・ディック監督に話を聞いた。“クロゼット議員”とは、アメリカ議会にいる、同性愛者であることを隠す議員のことを総称してそう呼ぶ。その“クロゼット議員”が同性愛者の権利(結婚や養子縁組など)に反対票を投じる矛盾行為と、政界の偽善を追求したドキュメンタリーだ。本作では“クロゼット議員”の同性愛経歴を赤裸々に暴いていることでも話題となっている。